2020/2/21

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国際音楽祭NIPPON マルクス・グロー インタビュー「室内楽と現代作品の魅力」 Vol.2

国際音楽祭NIPPON、室内楽プロジェクトでは「CLASSIC & MODERN」に参加するマルクス・グローの室内楽や現代作品の魅力について語るインタビュー「Vol.2」。「Vol.1」では、現代作品に対する思いや、演奏曲である川上統の組曲「甲殻」について語っています。去る1月、ベルリン・フィルハーモニー・ピアノ四重奏団の全国ツアーのため来日していたグローに、室内楽や現代作品の魅力について伺いました。[past_image 3]べルリン・フィルハーモニー・ピアノ四重奏団とは、昨年ダニー・エルフマンの録音をリリースされました。同時代の作曲家との関わりは、どんな影響を与えていますか? エルフマンの音楽は、みなさん聴いたことがあると思います。彼は「スパイダーマン」「バッドマン」「ザ・シンプソンズ」など、テレビや映画音楽の分野で活躍している作曲家です。クラシックの室内楽作品を作曲することは彼にとって初めての挑戦で、ベルリンでのスタジオ録音に立ち会い、実際の音を聴いて、楽譜を手直しをすることもありました。現代の作曲家たちと仕事をしていると、こういうことはよくあります。楽譜は“バイブル”というより“プロセス”なのだと実感しました。 一方で昔の作曲家の場合は、楽譜だけでなく時代背景などを研究することで、彼らがどうやってこの音楽にたどり着いたのかを知るおもしろさがあります。 私は10年ほど前、馬車で1836年のスタインウェイのレプリカを運んでドイツを回るリサイタル・ツアーを行いました。19世紀のようなスローテンポの暮らしをしたら、数日で、身近な人のことを強く想い始めるようになりました。たった2週間の旅を終えて子供たちに再会した時の喜びは、不思議といつも以上に大きなものでした。 そうして改めて、移動が楽でなかった時代、人が数ヶ月や1年会えないことは普通で、手紙を書いたところで届くかわからなかったということに思いを馳せました。彼らは、革命による突然の社会の変化、病などによる死別と隣り合わせて生きていたのです。例えばベートーヴェンの「告別」ソナタがあのような表現になった理由にも、改めて納得しました。 現代の私たちは、こうした内面的な豊かさを失っているかもしれません。しかし優れた古典的な音楽は、心に触れ、私たちが日常生活の中で失ってしまった感情を思い起こさせてくれると思います。[past_image 1]エルフマンの室内楽作品の録音で、グローさんはピアノから実に多彩な音を鳴らしていました。あのようにいろいろな音を出す秘訣は? オーケストラや室内アンサンブルと演奏する場合、特におもしろいのは、自分の鳴らすピアノの音が、他の楽器の音との関係で、干渉し、または引き立て合い、ときには新しい倍音を生み出すということです。リハーサルでは、ペダルの踏み具合、強調する音について、いろいろ実験をします。これは、ピアノから予想外の音を引き出すための一つの方法です。 特に現代音楽では、しっかりとそんな倍音の響きに意識を払っていなくては、求められる音が生まれないこともあります。これにより、印象的な音楽が生み出されるのです。 初めての現代作品を聴きにいくのは躊躇するというお客様もいらっしゃるかもしれませんが、どんなことに期待してほしいですか? 今回は、私たちが会場を走り回って聴衆の皆さんにも一緒に演奏しろと言い出すというような“実験的すぎる”作品はありませんから、どうぞ安心して聴きにいらしてください(笑)。 どのくらいの方が二公演両方をお聴きになるかわかりませんが、「Modern」のほうが、予想もしなかった驚きを感じられる可能性があると思います。チャレンジングな作品が揃っていますので、ぜひ新しい音楽との出会いにご期待ください。 取材・文:高坂はる香 マルクス・グロー インタビュー「室内楽と現代作品の魅力」 Vol.1はこちら - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 国際音楽祭NIPPON 2020 芸術監督:諏訪内晶子 [past_image 2]特設サイトこちらから 諏訪内晶子 & ニコラ・アンゲリッシュ デュオ・リサイタル 2020年2月14日(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール 諏訪内晶子プロデュース ベートーヴェン 室内楽マラソンコンサート 2020年3月8日(日)13:00 東京オペラシティ コンサートホール ジャナンドレア・ノセダ指揮 ワシントン・ナショナル交響楽団 2020年3月10日(火)19:00 サントリーホール 諏訪内晶子 室内楽プロジェクト Akiko Plays CLASSIC with Friends ※マルクス・グロー出演公演 2020年3月11日(水)19:00 紀尾井ホール 諏訪内晶子 室内楽プロジェクト Akiko Plays MODERN with Friends ※マルクス・グロー出演公演 2020年3月13日(金)19:00 紀尾井ホール 公開マスタークラス(ヴァイオリン) 2020年3月14日(土)・15日(日) 各日11:00〜 東京音楽大学 池袋キャンパスA館内教室
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