2019/12/26

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【インタビュー】チョ・ソンジン2020 〜“余白の美”を求めて

2020年5月23日より日本公演を行うピアニスト チョ・ソンジンにクラシックソムリエ田中泰氏がインタビューを行いました。どうぞご覧ください。[past_image 1]2020年5月末から6月初頭にかけて、チョ・ソンジンのリサイタルツアーが行われる。2015年の第17回ショパン国際ピアノコンクール優勝から5年が経過し、今や世界のトップピアニストの1人に数えられるまでに成長したチョ・ソンジンが、今回は一体どのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろう。ケルン放送交響楽団のソリストとして来日したチョ・ソンジンにリサイタルにかける想いを聞いてみた。[past_image 2]「日本に初めて来たのは2009年の浜松アカデミーで14歳のときでした。その後コンサートやプライベートでも来ていますので、すでに20回くらいは来ているのではないでしょうか。毎回楽しみにしています。今回の日本ツアーのために用意したプログラムの中ではブラームスがとても重要です。室内楽の経験はありますが、彼のソロ作品を弾くのは今回が初めてではないかと思います。ブラームスの初期作品は重く深みがあります。だからといって後期作品が軽いわけではありませんが、ブラームスは年をとることによって様々なものを捨てていったような気がするのです。今回扱う『作品118』は一見軽く見えながら、人生を考えさせられる深い内容を持った作品なのです。僕はまだ若いですが、これから歳を取るにつれて人生において何が大事なのかを感じとる時期がきっと来るはずです。物や考えを捨てることによってより深い何かを手に入れる。そんなことを感じさせてくれる作品を弾くことは大きな喜びです。一方、ムソルグスキーの『展覧会の絵』は、今から10年前の2010年3月に東京オペラシティで演奏した思い出の曲です。当時はホロヴィッツに憧れていましたので、いかに華麗な曲として演奏するかに焦点をおいていました。しかし今は、オーケストラ的な要素を持つこの曲の色彩感や美しさを、さながら絵を書くように仕上げたいという気持ちで臨んでいます。華麗に早く弾くというのではなく、絵画における“余白の美”とでもいうのでしょうか。それをいかに美しく表現するかですね。これは演奏旅行の合間に美術館に通うことによって身についた感性なのかもしれません。そして、ベルクとリストのソナタも再びとりあげます。この2曲はとても相性が良いのです。ロ短調という共通の調性でもありますし、並べて弾くことによってさらにロマンティックな雰囲気が醸し出されます」 これはコンサートがますます楽しみになりそうなコメントだ。さらには聴衆へ向けてのメッセージも印象的だ。 「日本での演奏は驚きの連続です。なぜならホールと聴衆がとても素晴らしいからです。聴衆が集中して聴いてくださる姿勢に感謝していますが、あまりにも集中されているので、逆にこちらが緊張してしまうことがあるほどです(笑)。その意味でも、世界で一番緊張して演奏するのが日本の皆様の前ではないか思います。韓国以外で初めて演奏を行った国が日本であるということも含めて日本は私にとって特別な国になっています。次回も喜びと感謝の気持ちを持って演奏いたします」 文:クラシック・ソムリエ田中泰 ◆チョ・ソンジンのプロフィールは下記をご参照ください。https://www.japanarts.co.jp/artist/SeongJinCho - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 圧倒的な才能、さらに極まる! チョ・ソンジン ピアノ・リサイタル 2019年11月26日(火)19:00 サントリーホール 公演詳細はこちらから[past_image 3]- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 伝統と革新。北欧屈指の名門楽団。 フィンランド放送交響楽団 首席指揮者:ハンヌ・リントゥ、ヴァイオリン:五嶋 龍(5/27)、ピアノ:チョ・ソンジン(5/28) 2020年5月27日(水)19:00 サントリーホール (五嶋 龍出演) 2020年5月28日(木)19:00 サントリーホール (チョ・ソンジン出演) 公演詳細はこちらから[past_image 4]
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