2018/4/5
ダニエル・ロザコヴィッチのインタビュー [フランクフルト放送交響楽団]
6月にアンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮 フランクフルト放送交響楽団と共演するヴァイオリニスト ダニエル・ロザコヴィッチ。伊熊よし子氏によるインタビューぜひご覧下さい。[past_image 1] 7つの民族の血を受け継ぎ、4カ国語を操る若き逸材。
9歳から親しんでいるメンデルスゾーンのコンチェルトで真価発揮
ウラディーミル・スピヴァコフ、ワレリー・ゲルギエフ、アンドリス・ネルソンスをはじめ、多くの世界的な指揮者から「真の天才」と称されるダニエル・ロザコヴィッチは、7歳になる少し前に自分の意志でヴァイオリンを始めた。家族に音楽家はひとりもおらず、ロザコヴィッチも母親の希望で5歳からチェスを習い、ストックホルムの大会で第2位となり、関係者から「未来の名人出現」と称された。
当時はロシアのテニス選手、マラト・サフィンの大ファンだった母親の薦めによりテニスも習い、12歳の子に勝つほどの腕前だった。
「でも、ぼくは学校でヴァイオリンに出合い、一瞬にしてその音色に魅せられてしまったんです。ヴァイオリンだったら90歳まで弾ける。スポーツは30代で引退しなければならない。絶対にヴァイオリニストになると、7歳前に自分の将来を決めました。以後、迷いはありません。さまざまな指揮者からいろんなことを学び、レパートリーが増えていくたびに胸が高鳴ります。音楽で自分を表現できるので」
ロザコヴィッチは幼いころから先生探しに苦労した。自分の音楽観と合う先生になかなか巡り合えなかったからだ。だが、カールスルーエ音楽大学のヨーゼフ・リッシン、さらにエドゥアルド・ウルフソン教授と出会い、現在はこのふたりから非常に意義深いレッスンを受けている。そしてジュネーヴのインターナショナルスクールにも通い、学科も学んでいる。
「ぼくの家系はいろんな民族が混じっていて、ぼく自身は7つの民族の血を受け継いでいます。それはいろんな作曲家の作品を学ぶときにとても役立ちます。言語にも興味があり、いまは4カ国語を話せますが、もっと増やしていきたい。言語が理解できると、作曲家に近づくことができると思うからです」[past_image 2] ヴァイオリンを始めて2カ月後に初めてのリサイタルを行い、1年半後にはスピヴァコフとの共演でタイスの「瞑想曲」を演奏した。
「マエストロ・スピヴァコフが、ぼくのヴァイオリニストとしての道を拓いてくれたのです」
そのころからメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲には憧れていたが、実際に演奏したのは10歳のとき。ロマンにあふれ、繊細で奥深い曲想に深い共感を抱くようになる。
「メンデルスゾーンのコンチェルトは子どもにとって理解しやすい曲でした。旋律が美しく、自然に入っていくことができましたから。9歳から独学で弾いていますが、いまはもっと楽譜の奥まで読み込み、その深さを表現したい。マエストロ・オロスコ=エストラーダとは初共演ですので、すごく楽しみです」
エキゾチックな風貌と、知的で深々とした表現の演奏。共演した指揮者がみな絶賛し、支援を惜しまないのは、素直な性格も関係している。「スポーツをしないと頭がスッキリしない」と語る彼は、テニス、サッカー、ボクシングに加え、最近は柔道も始めた。なんでもとことん極め、自分のものにしてしまうロザコヴィッチ。「でも、ヴァイオリンが一番。生涯、ぼくはヴァイオリンとともにありたい」と熱く語る。その心意気を演奏から受けとりたい。
伊熊よし子(音楽ジャーナリスト)
ダニエル・ロザコヴィッチは6月8日(金)群馬県太田市民会館、6月9日(土)ミューザ川崎シンフォニーホールに登場します。ロザコヴィッチが奏でるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ぜひ、お聴き逃しなく!!
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深みある響きとみなぎる鮮烈な音楽表現能力、 若き才能との注目の響宴!
フランクフルト放送交響楽団 アンドレス・オロスコ=エストラーダ(音楽監督・指揮)
2018年6月9日(土) 19:00開演 ミューザ川崎シンフォニーホール
2018年6月14日(木) 19:00開演 サントリーホール
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