2015/2/26

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

【演奏評】フランク・ペーター・ツィンマーマン(ベルリン放送交響楽団公演ソリスト)

フランク・ペーター・ツィンマーマンの2014年の秋から冬にかけての演奏評をご紹介します。 3月16日にはヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団と共演です。 プログラムはシベリウスのヴァイオリン協奏曲、期待が高まります。 [past_image 1]  ツィンマーマンの演奏はオーケストラと見事に調和し、その内面性が見せかけだけのきらびやかな独奏の技巧性を覆い隠すかのようであった。多くのヴァイオリン奏者が長大な第一楽章のカデンツァをドラマチックなパウゼで断ち切るところを、ツィンマーマンはすべてを、一つの長くてかすかな弧を描くかのようにとらえていた。第二楽章はあからさまなセンチメンタリズムに浸ることなく進み、第三楽章は素晴らしい“隠れんぼう”のゲームが展開された。 (指揮:ファンホ・メナ、ボストン交響楽団) The Boston Globe Music Review By David Weininger GLOBE CORRESPONDENT 2014年10月31日より抜粋  ツィンマーマン氏は愛器、ストラディヴァリウス「Lady Inchiquin」を持つ手を覆うように背中かがめ、一人佇んだ途端、聴衆は魅了されずにはいられなかった。魅惑の木材から紡がれる音色は圧倒的だ!その鮮明な音色と、悲劇を連想させる解釈は、失った愛を必死で追い求めてスカンジナビアの雪化粧をした森をさまよう旅へと聴衆を誘った。  第2楽章はもう少し穏やかでメランコリック、深い苦悩に身を任せた嘆きの人のよう。 悲しみが畏敬の念となって全体に流れ、喜びの記憶がよみがえるとともに強さを増していくが、やがて静けさを取り戻した精神は、憑かれたかのような純粋な弦と独奏ヴァイオリンのピアニッシモで終わりへと向かう。  アレグロ・マ・ノン・タントは意外に速く、積雪の草原の中を飛び跳ねるかのような演奏。オーケストラは最高の状態で、ツィンマーマンの熟慮され、技術的にも完璧な演奏を支えた。ヴァンスカの細部への傾注も見事で、特にダイナミックなコントラストは作品に生き生きとした興奮を与えた。また、ホールの低音部の反響もスカンジナビアの音色を演出するのには最高に適していた。私は幾度となくこの協奏曲を様々なソリストの演奏で聴いているが、  この日のツィンマーマンの演奏では啓示を受けたのだ。特に重音のパッセージでみせた卓越した透明感や、アクセントの置き方は素晴らしく独創的。カデンツァもピュアで優美でパワフルであった。 (指揮:オスモ・ヴァンスカ、メルボルン交響楽団) 2014年12月3日 Simon Hukin の記事より抜粋  ヴァンスカの緻密な指揮は、魅惑的でかつ統制のとれた音をメルボルン交響楽団から引き出した。そしてこの協奏曲中、最も情感あふれる主題が提示される。ツィンマーマンはこれを透明性と率直さをもって演奏し、シベリウスの切望と苦悩を心にきざみこむ効果をあげている。カデンツァでは、ツィンマーマンの催眠術にかけられたかのように流れる弓の動きによる豊かな音色、クリスタルのようにクリアな運指、みずみずしいヴィブラート、独特なポルタメントのすべてが精巧な時計仕掛けのように展開された。雪崩のように押し寄せる名人芸を、肩で風を切って歩くかのようなゆとりをもって楽章が閉められた。  メランコリックなアダージョの楽章では、ツィンマーマンはG線の最高音まで、気品のあるテノールのように駆け上がる。まるでヴィオラのように暖かい音色の1711年製ストラディヴァリウス −かつて偉大なフリッツ・クライスラーが所有した− は、嵐を呼ぶのに適していた。前楽章の嵐を再び呼び起こすのに時間はかからなかった。嵐が一段落すると、我々は沈思の世界を漂い、徐々にこの楽章のクライマックスへと上がっていく。頂点に達すると、ツィンマーマンとオーケストラは最後の圧倒的な熱情の吐露へと傾いて行った。 (指揮:オスモ・ヴァンスカ、メルボルン交響楽団) Daily Review By Chad Satterlee 2014年11月28日より抜粋  最後に、忘れてはならないのが、ドイツのヴァイオリニスト、フランク・ペーター・ツィンマーマンがかつてフリッツ・クライスラーが所有した名器、ストラディヴァリウスで、シベリウスのヴァイオリン協奏曲ニ短調の巨匠級の独奏を披露したことである。 3つの楽章ではそれぞれ、長く歌われる主題の間に、飛び跳ねる重音が散りばめられ、悩ましいアルペッジョに複雑な運指など多くを要求される。左手でこれらのことをこなしつつ、右手でも、巨大なオーケストラを凌駕する、速いクロスボウイングと流れるようなフレーズに交互に対処しなければならないのだ。  ツィンマーマンは5歳でヴァイオリンを始め、10歳で初の演奏会を行い、このような難しい挑戦には厳格に、冷静に、類まれなる繊細さをもって取り組んできており、かすかな光きらめく冒頭部から35分後の曲の終わりまで、感動で聴衆を微動だにさせなかった。 — (指揮:ドナルド・ラニクルズ、シドニー交響楽団) Dailytelegraph.comコンサート評  Steve Moffatt  MANLY DAILY 2014年12月8日1:02PM より抜粋 シベリウスのコンチェルトを弾く演奏の動画をご覧頂けます。 Photo by Harald Hoffmann│h?nssler CLASSIC ----------------------------------------------- ドイツ音楽の真髄を体現する円熟の名コンビ!! マレク・ヤノフスキ芸術監督・首席指揮者 ベルリン放送交響楽団 2015年03月16日(月) 19時開演 サントリーホール 2015年03月18日(水) 19時開演 サントリーホール 公演の詳細はこちらから
ページ上部へ