メトロポリタン・オペラ

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≪メトロポリタン・オペラの歴史≫
 メトロポリタン・オペラは、世界中から集まる歌手、指揮者、作曲家、オーケストラ奏者、演出家、デザイナー、ビジュアル・アーティスト、振付家、ダンサーという最も創造的で才能あるアーティスト達の刺激に満ちた基地である。世界最高の歌手が集まる歌劇場として知られるMetは、1976年以来ジェームズ・レヴァインが音楽監督を務めている。オペラ界屈指のオーケストラと合唱団を作り上げたのはレヴァインの功績である。
2006年夏には、ピーター・ゲルプがMetの第16代総監督に就任した。

 メトロポリタン・オペラは1883年に創立され、ブロードウェイの39番街に建設。その後、1996年9月にリンカーンセンターに移転。メトロポリタン歌劇場は、最先端のハイテク施設を備えていた。
 Metはいつの時代も世界最高のアーティストと契約してきた。創業時には、クリスティーヌ・ニルソンとマルセラ・センブリックが初シーズンを盛りたてた。続くドイツ語の時代はリリー・レーマンの独壇場で、ワーグナーのレパートリーを中心に、彼女が歌うと言った作品のすべてがレーマンに委ねられた。1890年代には、ネリー・メルバとエマ・カルヴェがレシュケ兄弟とスポットライトを分かち合い、さらにアメリカ人ソプラノのエマ・イームズとリリアン・ノルディカらも活躍した。エンリコ・カルーソーがMetに登場したのは1903年。この名テノールは、生涯を通じて出演したすべてのオペラ公演のうち、実に半数以上をMetのステージに費やした。この頃にはアメリカ人歌手もMetの重要な担い手となり、ジェラルディーン・ファーラーやローザ・ポンセルが主要メンバーの仲間入りを果たした。また、1920年代に頭角を現したローレンス・ティベットは、その後Metが輩出することになる優れたアメリカ人バリトン勢の先駆となった。世界各地から優秀な才能を受け入れる伝統は今に引き継がれ、Metは現在、全米協議会オーディション とリンダーマン・ヤングアーティスト育成プログラム の運営を通じて、新人アーティストの発掘と育成に尽力している。

 もっとも重要なオペラ作品のいくつかは、Metによってアメリカ初演が行われた。特にワーグナーの傑作はMetが国内初演を手がけた例が多く、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、「ラインの黄金」、「ジークフリート」、「神々の黄昏」、「トリスタンとイゾルデ」、「パルジファル」がこれに該当する。この他に、「ボリス・ゴドノフ」、「ばらの騎士」、「トゥーランドット」、「シモン・ボッカネグラ」、「アラベッラ」の国内初演もMetが担った。また、プッチーニの「西部の娘」や「三部作」を始め、Metの世界初演によって世に送り出されたオペラが31作品ある。ジョン・コリリアーノとウィリアム・ホフマンによる「ヴェルサイユの幽霊」(1991年)、フィリップ・グラスの「航海」(1992年)、ジョン・ハービソンの「グレート・ギャツビー」(1999年)、トバイス・ピッカーの「アメリカの悲劇 」(2005年)タン・ドゥンの「始皇帝」(2006年)などがその中に含まれる 。1976年以降、Metのレパートリーには新たに37作品が追加されてきたが、そのすべてがこうした努力の賜物なのである。

 2006年12月、Metは世界中の映画館で高画質ライブ中継を行う≪ライブビューイング≫を開始した。シリーズは当初6回から2010/11年シーズンには12回に拡大し、今では46ヶ国1,500以上もの会場で実施されている。
(2010年12月)

【これまでのメトロポリタン・オペラ日本公演】
◆1975年 《椿姫》《ラ・ボエーム》《カルメン》東京・大阪・名古屋

◆1988年《ホフマン物語》(演出:オットー・シェンク)東京・名古屋・大阪
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
プラシド・ドミンゴ、エリー・ミルズ/マルティーヌ・デュピュイ/ロバータ・アレグザンダー、スーザン・クイットマイヤー、ジェイムズ・モリス

《フィガロの結婚》(演出:ジャン=ピエール・ポネル)東京・大阪
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
ジョン・チーク、キャスリーン・バトル/ヘイ=キョン・ホン、トーマス・ハンプソン、キャロル・ヴァネス

《イル・トロヴァトーレ》(演出:ファブリツィオ・メラーノ)東京・名古屋
指揮:ジュリアス・ルデール
フランコ・ボニゾッリ、アプリーレ・ミッロ、シェリル・ミルンズ、エレーナ・オブラスツォーワ

《メトロポリタン歌劇場スペシャル・コンサート》東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
キャスリーン・バトル、プラシド・ドミンゴ

◆1993年
《仮面舞踏会》(演出:ピエロ・ファッジョーニ)横浜・東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
プラシド・ドミンゴ、アプリーレ・ミッロ、フアン・ポンス/ウラジーミル・チェルノフ

《愛の妙薬》(演出:ジョン・コプリー)横浜・東京
指揮:エドアルド・ミュラー
キャスリーン・バトル/ユン・オク・シン、ルチアーノ・パヴァロッティ、ポール・プリシュカ、ジーノ・キリコ/マーク・オズワルド

《ワルキューレ》(演出:オットー・シェンク)東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
ゲイリー・レイクス、ザビーネ・ハス、ギネス・ジョーンズ、ジェイムズ・モリス、オーゲ・ハウグランド

《メトロポリタン歌劇場管弦楽団特別コンサート》東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 

◆1997年
《カヴァレリア・ルスティカーナ》《道化師》(演出:フランコ・ゼッフィレッリ)名古屋・東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
マリア・グレギーナ、ファビオ・アルミリアート、ブルーノ・ポーラ
ダニエラ・デッシー/エリザベス・ホレクイ、プラシド・ドミンゴ、フアン・ポンス

《トスカ》(演出:フランコ・ゼッフィレッリ)名古屋・横浜・東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
キャロル・ヴァネス/マリア・グレギーナ、ルチアーノ・パヴァロッティ/ファビオ・アルミリアート、ジェイムズ・モリス

《カルメン》(演出:フランコ・ゼッフィレッリ)名古屋・東京
指揮:プラシド・ドミンゴ 
ワルトラウト・マイヤー、ルイス・リマ、アンジェラ・ゲオルギュー、セルゲイ・レイフェルクス

《コシ・フアン・トゥッテ》(演出:レスリー・ケーニック)東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
キャロル・ヴァネス、スザンヌ・メンツァー、ジェリー・ハドレイ、ドウェイン・クロフト、トーマス・アレン

《メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団 特別コンサート》東京
『ヴェルディ:レクイエム』 『ファウストの劫罰』
指揮:ジェイムズ・レヴァイン

◆2001年
《サムソンとデリラ》(演出:エライジャ・モシンスキー)大津・名古屋・横浜
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
プラシド・ドミンゴ、オリガ・ボロディナ/イリーナ・ミシュラ

《リゴレット》(演出:オットー・シェンク)大津・東京
指揮:ジェイムズ・レヴァイン 
ルース・アン・スウェンソン、フアン・ポンス、ラモン・ヴァルガス

《ばらの騎士》(演出:ナサニエル・メリル)名古屋・横浜・東京
指揮:アンドリュー・デイヴィス
ルネ・フレミング、スーザン・グラハム、ハイディ・グラント・マーフィー、フランツ・ハウラータ

《メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団 特別コンサート》東京
『グレの歌』 『ヴェルディ:レクイエム』
指揮:ジェイムズ・レヴァイン

◆2006年
《椿姫》(演出:フランコ・ゼッフィレッリ)西宮・東京
指揮:パトリック・サマーズ
ルネ・フレミング、ラモン・ヴァルガス、ディミトリ・ホロストフスキー

《ドン・ジョヴァンニ》(演出:マルト・ケラー)西宮・東京
指揮:アンドリュー・デイヴィス
アンナ・ネトレプコ、アーウィン・シュロット、ルネ・パーペ、マシュー・ポレンザーニ、メラニー・ディーナー、マグダレナ・コジェナー、セルゲイ・コプチャク、ジョナサン・レマル

《ワルキューレ》(演出:オットー・シェンク)東京
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ、アンドリュー・デイヴィス
プラシド・ドミンゴ、デボラ・ヴォイト、デボラ・ポラスキ、ジェイムズ・モリス、ルネ・パーペ

《メトロポリタン歌劇場管弦楽団特別コンサート》東京
指揮:アンドリュー・デイヴィス
ルネ・フレミング

◆2011年
《ラ・ボーエム》(演出:フランコ・ゼッフィレッリ)東京・名古屋
指揮:ファビオ・ルイジ 
バルバラ・フリットリ、スザンナ・フィリップス、ピョートル・ベチャワ、マリウシュ・クヴィエチェン、エドワード・パークス、ジョン・レリエ、ポール・プリシュカ

《ランメルモールのルチア》 (演出:メアリー・ジマーマン)東京
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
ディアナ・ダムラウ、ロランド・ヴィラゾン、アレクセイ・ドルゴフ、ピョートル・ベチャワ、ジェリコ・ルチッチ、イルダール・アブドラザコフ

《ドン・カルロ》 (演出:ジョン・デクスター)東京・名古屋
指揮:ファビオ・ルイジ
マリーナ・ポプラフスカヤ、エカテリーナ・グバノヴァ、ヨンフン・リー、ディミトリ・ホロストフスキー、ルネ・パーペ、ステファン・コーツァン

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